いろいろなイベントやセミナー、コミュニティに参加していると、たまに気持ちをくじくような話をする方がいます。
例えば、「そんな言い方をしなくてもいいのに」「この人は何を言いたいのだろう」「はやく話しを進めてくれないかな」などなど、せっかくの機会を横道に逸れてずっと話をされると気分が滅入って憂鬱になります。
そのようなことをいう人は、参加した目的が他の方と違っているかもしれません。
イベントを楽しんだり、セミナーで学んだり、コミュニティで仲間と意見交換したり、そんな感じで参加しますが、場の雰囲気を壊す方は、参加目的が違っている可能性があります。
主催者を困らせてやろうとか、自分の意見を言いたい、相手を凹ませてやろうなどと考えているかもしれません。
そのような人と一緒に参加したくありませんね。
そこまででなくても、声の大きい人(発言のうまい人や影響力を持っている人など)の発言に引っ張られてしまったり、本筋と違う議論にうんざりしたり、自分と考えの違う内容にイライラし感情的になってヒートアップしてしまうこともあります。
そのような場合、感情的になった気持ちでぶつかり合っている参加者同士では、なかなか話しを打ち切ることができません。
司会やファシリテーションする方の関わりが重要になります。
そのような立場の方がコントロールできないと、せっかくの場が「荒れて」しまいます。
では、荒れないようにするためにはどうすればよいでしょう。
それは「グランドルール」をきちんと設定することです。
セミナーで最初に説明されることが多くなりましたが、なんとなく「儀式」的にちょっと説明するだけであったり、資料に書いておいて、読んでください!、とひとことで済ませ進んでしまうこともあります。
この「グランドルール」、とっても大切です。
時間を掛けても、参加者と共有する必要があります
ウィキペディア(Wikipedia)では、次のように書かれています。
グランドルールとは会議、ミーティング、自助グループなどを行う際に設定することがあるルール。
会議をスムーズに進行するため、ファシリテーターが会議前に設定する場合や、ある程度、大枠を決め、参加者の案も混ぜて、共に作っていく場合もある。
「グランドルールを作らない」というグランドルールになるケースもある。
私は、グランドルールを設定することは、安心・安全で、参加者の多様な意見やアイデアを引き出し効果のある学びの場を作るためのスタートだと考えます。
グランドルールは、参加者自身の心構えとなるようなものと、具体的な行動に関するものがあり、会議の目的に応じてグランドルールの内容を設定します。
参加者が初めて集るようなセミナーや研修や新しい会議のスタート時には特に意識したいルールです。
グランドルールを設定した場合は、参加するメンバーに対してそのグランドルールを設定した意図をしっかり共有することも大切です。
グランドルールには次ようなものがあります。
グランドルールの例
・違いを受け入れる
・発言やアクションをフォローしあう
・失敗を歓迎する
・否定しない
・伝えることを諦めない
・ほめる
・聴く
・受けとめる
・待つ
・愉しむ
・携帯電話の電源はOFF
何を設定するかは、場を作るひとの裁量となります。
私が学ぶTA心理学の講習では、次の4つが設定されています。
「安心・安全場を作る」ということで、私は大変有効なルールだと感じているのでご紹介します。
ルール1 積極参加
ルール2 パスの権利
ルール3 相互尊重
ルール4 守秘義務
それぞれどのような内容かみていきましょう。
グランドルール
ルール1 積極参加
「こんなこと言って大丈夫かな…」
「こんなことして間違っていないかな…
間違ったことを言って笑われないかな…
初めての場では不安、心配があります。
でも、そんなことはありません。
とりあえず、やってみる!
ただやってみる
やらずに後悔するよりやって後悔したほうがいい
朝ドラエールの一場面で、ヒロインのお父さんが言っていました。
後悔するのはちょっと置いておいて、やってみることから始めると、自分だけでは考えつかなかった気づきを得られることがあります。
やってみなければ、何が起こるかわかりません。
まずは、やってみること。それが「積極参加」です。
積極参加がルールであるということは、自由に思うことが発言できる場とすることができます。
もう一つ、積極参加をルールとすると、「思い込み」を減らすことができます。
ひとは「この話、以前聞いたことがある」「これなら知ってる」と思うと、そこで思考を停止し、新しい情報は入ってこなくなる傾向があります。
「思い込み」で判断せず、素直に受け止め、少しでも「あれっ?」と思ったり、「なんか変だぞ」と違和感を感じたら、まあいいか、とせず、積極的に聴いてみるこが大切です。
その違和感は、自分にとって大切な気づきをもたらしてくれ可能性が高いのです。
常に前向きに、ポジティブに参加できる場をであることをルールとしましょう。
ルール2 パスの権利
研修が進んでいくなかで、ふと、妙に心がざわざわとざわついたり、気持ちが沈み込んだり、思考停止に陥ってしまうことがありませんか。
そんな時、順番で回答や発言を求められているときは、自分をスキップしてもらってください。
そうです。パスをしてもらうのです。パスに制限はありません。3回で退場することも失格になることもありません。
この「パスの権利」は自分の混乱している状況に無理をする必要がないことを許可しています。
その時、その気持ちに印をつけてください。そして、後日その気持ちを振り返ってみてください。
なぜ、ざわついたのか、気持ちが揺れ動いたのか、そこに、自分の解決したい何かが眠っている可能性があります。
焦る必要はありません。
その時はパスをして、自分を見つめなおすきっかけにしてください。
ルール3 相互尊重
研修中は、様々な問いかけがあったり、いろいろな方がそれぞれの考えを発表します。
その中には、納得がいかなかったりすることもあります。
そんな時、私たちは、そのまま我慢してしまったり、遠慮やあきらめから気持ちを納得させて、周囲に合わせてしまうかもしれません。
社会生活の中では、必要となる場合もありますが、この場では、自分お考えや思っていること、感じていることを正直に表現することを推奨します。
発言を「NO!」と言って否定しないでください。
発言した人、その発言自体を受け入れ、それぞれが感じていることや考えていることを尊重しましょう。
そして、何より「自分ファースト」です。
自分をまず第一に大切にしてください。
自分を大切にすることで、そのあふれた想いが、相手への思いやりの始まりにもなります。
ルール4 守秘義務
自分自身が研修内で発言したことや、感じたこと、行動は、研修が終わってから話しても支障ないでしょう。
すべて自分の責任で行っていることですから。
でも、ほかの参加者のものであれば別です。
プライベートの内容を含んでいる可能性もありますから、いかなる内容であっても、外で口外してはいけません。
これは、一律です。
この内容であれば、というような自分の勝手な判断で口外してしまうと、後々トラブルとなる可能性があります。
口外されて傷くかどうかは、発言した人しかわかりません。
相手を最大限尊重するためにも「守秘義務」は絶対です。
以上、グランドルールをみてきました。
グランドルールの基本を持っていると、いかなる時でも、自分が講座を行う軸となります。
その軸をしっかり持って、参加者にきちんと説明すれば、
安心・安全な場を作ることができます。
参加者全員が、得たい結果をもって帰れるような、居場所を作りましょう。
(参考文献)
『ギスギスした人間関係をまーるくする心理学 エリック・バーンのTA』
安部朋子 著
西日本出版
『TA TODAY 最新・交流分析入門』
イアン・スチュアート/ヴァン・ジョインズ 著
深沢道子 監訳
実務教育出版
コメント