性格診断で使われることの多いエゴグラム。
入社試験などでも使われています。
そもそも「エゴグラム」って何なのでしょう?
エゴグラムとは?
エゴグラムは、自分の内面的な傾向が、対外的にどのように向かっているのかを数値化して示す図表です。
そして、対外的にどのように人に接しているのかを、図表(主に棒グラフ)から読み解きます。
そこで、強調されている機能的な面の自我状態やエネルギーバランスの偏りを視覚的に理解できます。
自分自身の日常生活の対人関係や意思決定にどのような傾向があるのか、その特性を見ることができます。
エゴグラムの基本 自我状態とは
エゴグラムを理解する上で基本的な概念である自我状態について解説します。
エゴグラムは Transaction Analysis(略して「TA」)(日本語では、交流分析と訳されています)という心理学の一つの理論です。
ベースとなっているのは「自我状態」という考え方です。
自我状態は、TAの基本となる理論です。
自我状態には「構造モデル」と「機能モデル」があり、エゴグラムは機能モデルを元に作られています。
自我状態構造モデル
自我状態構造モデルは、人の心の成り立ちを三つの円を三層構造で表したものです。
人の心の成り立ちを三層構造で表し、
構造モデルは、自分のパーソナリティの一部をある時点で表したもので、
自分の心の中を表しているので、他者からはわかりません。
構造モデルでは、思考、感情、行動の根底となる精神的なエネルギーを次の3つに分類しています。
P(Parent:親):価値観中心(過去の自分の再現)
親や親のように養育してくれた人の考え方や感じ方、行動の仕方が保存されている部分
厳しく叱ったり、優しくサポートしたり、保護してくれたりするれたりします。親と同じように考え、行動する部分。 自他ともに厳しく律したり、優しく支 援・受容したりする
A(Adult:成人):理性中心(今、ここ、現在)
「今、ここ」での大人としてのあなたが感じたり、考えたり、行動する部分
現実的に客観的に冷静に対応できる部分。
計画を立てた行動したり、何事にも冷静に対応し、客観的に判断をします。
C(Child:子ども):感情、感覚、欲求などの源(過去の自分の再現)
あなたの子ども時代の感じ方、考え方、行動の仕方が保存されている部分
子どものように感じたまま行動したり、思うまま自由にふるまったり、誰かの顔色を見て従順に行動したり反抗的な対応したりします。
人は誰でも、この3つの構造を持っています。
例えば、社会的地位のある、常に冷静沈着で、リーダーシップを発揮している政治家が、お祭りに参加し、没頭すると人が変わったように行動することがあります。
このように、場面場面に応じて心の中の反応は人それぞれ変わるということなのです。
自我状態機能モデル
機能モデルでは、自我状態の中に何があるのかを示します。
自我状態を分割し、私たちがそれぞれの機能をどのように使うかを示します。
機能モデルでは、自我状態がどのように描写しているのかを見ることになります。
機能モデルのの5つの機能は次の通りです。
1. CP(Critical Parent/批判的な親)
信念に従って行動する厳しいの心です。父親のような心とも言えます。
リーダーシップを発揮する心でもあります。
その信念が強いと、自分の価値観や考え方を曲げることなく、他者を批判したり非難したりします。
批判的な心や自分が思い描く理想と深く関連しています。
悪い方向に発揮されると、尊大で支配的な態度、命令的な口調などが目立つようになります。
長所: リーダーシップがある、正義感が強い、ルールや秩序を守る。
短所: 支配的、抑圧的、批判的がすぎると対人関係に問題が生じる。
2. NP(Nurturing Parent/養育的な親)
思いやりをもってお世話をするやさしい母親のような心と言えます。
親身になって人の面倒をみる保護的なやさしさが特徴で、親切やいたわり、受容的な態度で他者と接します。
そのエネルギーが悪い方向に働くと、過保護のや過干渉になってしまうことがあります。
長所: 保護的で優しい、共感力が高い、温かい人間関係を築ける。
短所: 他者優先となり、自己犠牲を厭わない場合がある。
3. A(Adult/成人)
論理的で客観的な判断をする能力となります。
事実に基づいて、客観的に冷静に物事を判断しようとする合理的な大人の心です。
コンビューターに例えられ、データを集めて論理的に処理していく働きをします。
このエネルギーだけが突出すると、打算的で感情のない冷たい心に見えてしまいます。
その結果、人間味のない人という評価を受けるおそれがあります。
長所: 冷静、論理的、客観的、合理的な対応ができる。
短所: 感情を抑え込み、人間味が欠ける評価を受けることがある。
4. NC(Natural Child/自然な子ども)
感情が豊かで、創造性や自発性を発揮する心と言えます。
自分の欲求のままにふるまい、ありのままの感情をそのまま表わします。
自由奔放な何ものにも縛られない自然な子どもの心です。
明るくて無邪気といえますが、わがままな、自分勝手と映ることがあります。
そのため、他人への配慮に欠ける場合があります。
長所: 情緒豊か、明るさ、切り替えが早い、素直に楽しめる、創造的な発想力がある。
短所: 他者配慮に欠ける、自由奔放、責任感を欠く場合がある。
5. AC(Adapted Child/順応した子ども)
他人に合わせることのできる、協調性がある従順さを表す心と言えます。
自分の気持を抑えて相手の期待に添う、従順な態度が表れます。
自分を抑え、他者や社会規範に従って行動する傾向を持っています。
反面、他者に対して反抗する心も持っています。
この機能が強すぎると、イヤなことをイヤと言えず、ストレスを溜んでしまいます。
長所: 協調性がある、周囲に配慮できる、Noと言える。
短所: 他者依存、言われるがまま、自分の意見を言えない。
これらの自我状態はすべての人が、誰もが持っています。
5つそれぞれの自我状態の割合やその強弱の組み合わせが、その人の個性を表しています。
エゴグラムの価値
エゴグラムは自我状態機能モデルのエネルギー量を客観化、図式化して表しています。
エゴグラムを理解することで、自分の特徴を把握し、自分が理想とするあり方や自己管理の手助けとなり、よりよい人間関係の構築が可能になります。
エゴグラムはその人の「生き方のくせ」「生きやすさのパターン」を表しています。
エゴグラムは良しあしを判断するものではなく、今、自分自身がどのような状態にあるのかを客観的(俯瞰的)に理解するためのツールです。
エゴグラムを使うことで自分自身の悩み解決の一助となるかもしれません。
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