ストロークとは? 心理学(TA)で心の栄養と言われるサプリメント! 健康維持のための受け取り方と与え方

私は昭和に生まれ学生生活までは昭和の時代を過ごしました。
青春時代は昭和の時代でした。

大学を卒業し、大学の先輩と起業してすぐに、時代は平成へと移り変わりました。
社会人生活は平成と共に過ごしてきました。
その平成も終わりを告げ、令和の時代となり、私はこれまでの社会人生活にピリオドを打ちました。。
そして「今」、私は第2の人生を歩み始めています。

ストロークを求めない時代

社会人になった頃はバブル絶頂期で、お金はあって当たり前、株価は右肩上がりで上がり続け、経済的な豊かさが求めることが普通の感覚で疑うことなく生活を送ってきました。
社会人生活は、ただ流されるように仕事中心になっていました。

その結果、仕事しかない私の社会人生活の後半は精神的に不安定な状況となっていきました。

その頃の私はというと、「何でも自分で行わなければならない!」「人に頼ってはいけない!」と考え、すべてを自分で抱え込んでしまい、結果的に周りの人に迷惑をかけてしまったこともありました。
そして、だんだん自分自身を追い詰めていきました。

あの頃の仕事に対しての姿勢は、ビジネスマンとしては失格でした。
自分ひとりで身を粉にして働いて仕事をこなす!
人と協力することより自分の力だけを頼りに、今でいうブラックな労働環境であっても、それで仕事をこなせればOKという考え方でビジネスを行っていました。
独りよがりで、自分だけが頑張ればよい、という思い込みで自分を酷使していました。
私は経営層の一員として、本来は会社全体のビジネスと考えなければいけない立場でしたが、そんな余裕はなく目の前の仕事をただひたすらこなすことで精一杯でした。
他人にも同じように働くことを強制しなかったことだけが、唯一の救いかもしれません。

この状態は10年以上続きました。



ストロークとの出会い

中小企業でありながら大手企業の評価を受けたわが社では、大規模システムの一端を構築を担いました。
その結果、構築したシステムのサポートも行うことになり、私はサポートにやりがいを感じていきました。
自分の作ったシステムへの責任もあったのですが、お客様が困っている状況を解決するということに喜びを感じていました。
一緒にサポートに入っているメンバーの助けになりたいという気持ちもありました。

サポートを行うようになってからも、自分が頑張ればいい!という独りよがりな考えは抜けきらず、休みをほとんどとらない、月に1回休むかどうかという生活をしたときもありました。
そんな休みが取れないような生活にもかかわらず、仕事を続けられたのはなぜだったのでしょうか?
それは、現場の人たちから、またはサポートを一緒に行っている人たちからもらった感謝の言葉があったからでした。

「ありがとう」の一言は、私に喜びと達成感を与えてくれていたのです。

この「ありがとう」という感謝の言葉が、私に生きる糧となり、エネルギーをもらっていました。
このエネルギーを、TA心理学では「ストローク」といい「心の栄養」と言われています。

当時は「ストローク」をいう言葉を知っていたわけではありませんが、今振り返ってみると、心の栄養と言われる所以がよくわかります。
感謝されると、喜びと幸せを感じます。
そして、相手の方に対して、もっと何かをしてあげたい、と言う気持ちになります。

2017年にTA心理学と出会い、「ストローク」を知りました。
そして、自分に不足しているものが何であるか言語化されたことで、安堵感に包まれました。

コロナ禍の今、普通の生活をしていく中でもストローク不足となっています。
生きていくうえで必要な「ストローク」とはいったいどのようなものでしょう?



ストロークって何?

「ストローク」は、人が生きていくために不可欠なものと言われています。
TA心理学の生みの親であるエリック・バーンは、人が精神衛生を維持していくためには、絶え間ない刺激が必要であると言っています。
その刺激のことを「ストローク(stroke)」と名づけました。

ストロークは、誰かと話しをしたりするときに、相手に対しての言葉がけや態度などのやりとりのひとつひとつを指します。
あいさつをしたり、握手をしたり、ほほ笑んだり、叱ったり、ハグをしたりと、相手に対しての働きかけすべてがストロークです。

TA心理学では「ストローク」を「存在認知の一単位」と定義しています。
これだけ聞くと難しく感じますが、私達が普段生活している中で、誰かとコミュニケーションを取っているときは、「質問」に対しての「回答」、「刺激」に対しての「反応」のように、ひとつのやりとりの連続になっているということです。

太郎さんと次郎さんの何気ないやりとりを見てみましょう。

太郎「おはよう」
次郎「おはよう」

太郎「いい天気です」
次郎「そうですね」

太郎「それでは、また」
次郎「はい、さようなら」

日常の良くある朝の風景です。
このような一連の会話のやりとりの一つひとつが「ストローク」になります。



ストロークは心の栄養、心身の健康の源

「心身ともに健康」とよく言われます。

人生を幸せに豊かに過ごしていくためには、心も体も健康であることが必要、ということですね。

身体の健康を維持するために、私たちは、水を飲んで、食べ物を食べて栄養を取っています。
食事をするにあたっては、塩分を控えたり、野菜を多く取ったり、糖質制限したり、食事は楽しくするとか1日3食必ず取るなど、だれでもちょっとしたこだわりがあるのではないしょうか?
おなかがすいたら好きなものを食べる、という人もいるかもしれませんね。

では、心の健康を維持するために、どんなことをしているでしょうか?
この問いに、すぐに「○○をしています!」と答えられる人はどれくらいいるでしょう?

「心身ともに健康」と言いながら、私たちは、普段「心の健康」にはあまり目を向けていないことがわかります。

「休養・こころの健康」(厚生労働省)によると、「心の健康に」ついて次のように書かれています。

こころの健康とは、いきいきと自分らしく生きるための重要な条件である。具体的には、自分の感情に気づいて表現できること(情緒的健康)、状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること(知的健康)、他人や社会と建設的でよい関係を築けること(社会的健康)を意味している。人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること(人間的健康)も大切な要素であり、こころの健康は「生活の質」に大きく影響するものである。

心の健康を維持するためには、身体と同じように栄養を与えてあげる必要があります。
心の栄養です。
心の栄養には何があるでしょう。
例えば、おはようの朝のあいさつ、ありがとうの感謝の言葉、ギュッと抱きしめる、見つめあう、手を添える、愚痴を言う(聴く)なども心の栄養になります。
日常生活で、ほっとしたり気持ちが楽になったり、自分にとって心地よくなることが心の栄養(ストローク)を受けとったときになります。

ストロークをきちんと受け取っていれば、精神的はもちろんんこと身体的にも健康な状態を維持できます。
「病は気から」とも言いますね。
逆にストロークをきちんと受け取っていないと、情緒不安定になったり人間関係で悩んだり、モチベーションの低下を招きます。
さらには、怪我や病気の引き金にもなってしまうこともあります。

コロナ禍で人流を抑制する、人との接触が制限されると、心の健康を維持するために必要な「ストローク」を得られる機会が制限されることになりました。
その結果、心の健康を乱した人たちに様々な問題を生じさせたのです。



ストロークの種類

では、ストロークはどのようなものでしょうか。

ストロークは次のように分けて考えられます。

言語と非言語
肯定的と否定的(プラスとマイナス)
条件付きと無条件

ひとつひとつ見ていきましょう。

言語と非言語

言語とは文字や声になった言葉です。

非言語とは、顔の表情、態度、しぐさ、視線、声色、話す速度、声の大きさ、姿勢、行動など、その人の放つエネルギーみたいな感じのものです。

オーラもその一つですね。

肯定的と否定的(プラスとマイナス)

コミュニケーションの快・不快の決定権は受け手にあります。
相手が「心地よい」と思うものが「肯定的」で、「心地よくない」「不快」と思うものは「否定的」と考えられます。

朝「おはよう」と声をかけたとき、ニコッと笑って「おはよう」と返してもらえばうれしいですよね。この「ニコッと笑っておはよう」が肯定的なストロークです。
逆に、相手を見ずにぶっきらぼうに「おぉ」と返されたらどうでしょう。
なんか悪いことしたかなぁ、今日も機嫌が悪そう。憂鬱だなぁというように感じるのが「否定的」なストロークとなります。

人は肯定的なストロークをもらうと癒され、やすらぎ、元気をもらい、やる気が出ます。
反対に、否定的なストロークを受け取ると、気分が落ち込み、憂鬱になり、やる気もそがれてしまいます。

条件付きと無条件

条件付きとは、たとえば「優しいあなたが好き」「100点取った君はえらい」「いうことを聞かない子はきらい」など、条件を付けてストロークを与えることを言います。
無条件とは存在そのものを認めるストロークです。
例えば「あなたが好き」「生まれてきてくれありがとう」「ずっとそばにいるよ」などです。

これらの3つが組み合わせで日常のやりとりを判断すると、無条件の肯定的なストロークを受け取ることが心の健康に良いことがわかります。



ストロークの必要性、心に必要なサプリメント

無条件の肯定的なストロークは、人を温かくし、癒し元気を与えてくれます。
それは言語であっても非言語であっても同じです。
逆に否定的なストロークは相手を傷つけるので、受け取りたくありませんし与えたいものでもありません。

でも、否定的なストロークも「ないよりはまし」なのです。
小さい子どもは親の関心を引くために、どんなに注意したり怒ったりしてもいたずらを繰り返します。
それは親の関心を引くため、親にかまってもらいたいために行っています。
本当はほめて欲しい、認めて欲しいと思っていても、手に入れられなければ、怒られても(マイナスでも)良いのでストローク得たいと欲しているからです。

なぜならば、人が生きていくために一番のになるのは「無視」されることだからです。

こんな話があります。
刑務所で一番受刑者が嫌がるのは独房に入れられることだそうです。
それは、独房に入れられ、わめき騒いでも誰も相手にされないことは、人にとって精神的にダメージを与える最もつらいことだからだそうです。

コロナ禍になって、人との接触を断たれたことは、まさに心の健康を阻害する状況に陥ることになりました。
コロナウィルスは身体を蝕むばかりでなく、実は心も病む病気でもあったのです。
人との接触を断たれることで、これまで考えることなく日常的に手に入っていたストロークが得られなくなりました。
そのため、ストローク不足(心の栄養失調)となり、家庭でのトラブルを引き起こしたり、人を不安にしました。
心のゆとりが奪われ、優しさを失わせ、ギスギスした雰囲気が蔓延するようになってきたのです。

心の健康を維持するためにも、無条件の肯定的なストロークは必要なのです。



ストロークのお裾分け

このストローク、実は貯めることができます。
人は誰でもストロークを貯める袋(バケツ、巾着)を持っています。

その袋にプラスのストロークがいっぱい貯まると、自分の周囲の人たちにもプラスのストロークを分けてあげる、お裾分けすることができます。
でも、袋の中にマイナスのストロークしか入っていなければ、イライラして自分にも周囲の人にもトゲトゲした対応をとってしまいます。
また、袋が空っぽの場合、何にも反応できないかもしれません。無関心、やる気のない状態です。

ギスギスしていたり、無関心の人がいたら、できる限りの優しく接し、プラスのストロークを分けてあげましょう。
徐々にギスギスした様子が解消され、優しく温かな雰囲気になっていきますよ。

もし、自分がギスギスしていると感じたら、誰かが分けてくれたストロークをしっかり受け取りましょう。
「そんなものいらない」「余計なお世話」などと思わず、素直に受け取りましょう。
受け取ることも大切なことです。
ストロークを受け取れなければ、何も変えることができません。
思いやりのある優しいストロークは素直に受け取れるようになりましょう。



ストロークの与え方受けとり方、私の場合

私は心の栄養をバランスを取るために「毎朝、TAハッピーカードを引く」「絵本を読む」「感謝を伝える」を行っています。

TAハッピーカードはTA理論で組み立てられた自己肯定感を育てるメッセージ集です。
カードメッセージは基本的には「無条件の肯定的な」メッセージになっています。
ただ、メッセージの意味の決定権は受け手にあります。
ポジティブに感じることもネガティブに感じることもあります。

私の場合、毎朝カードを引き、そのメッセージから気づきをえることで、自分を見つめなおし、時に癒され、時に元気づけられ、時に叱咤されます。
そっと背中を支え、やさしく背中を押してくれる、そんなカードからストロークをもらっています。

絵本は、その世界観に入ることで、違う自分と向き合えます。
50年以上生きてくると、自分の考え方、見方、好き嫌いがはっきりしています。
どうしても好きなもの、心地億感じるものを求めてしまいますが、絵本は自分が求めていない世界を見せてくれます。
その世界観は癒しを与えてくれたり、刺激や驚きをもたらします。
モヤモヤした感情に包まれ何回も繰り返し読むこともあります。
それは、苦しいものではなく、ホッとするような、何か自分にとって必要なんだろうと感じられるものがそこにあります。

そして感謝。「ありがとう」を伝えることは、ストロークのお裾分けです。
感謝することで、私自身のストロークにもなっています。

今、私のストローク袋はプラスのストロークで満たされています。
お裾分け、できます(^^)



ストロークを感じられる絵本

ストロークってどんなもの?を感じられる絵本はいくつかありますが、今回は2冊紹介します。

『しあわせのバケツ』
キャロル・マッククラウド/作
デヴィッド・メッシング/絵
TOブックス

人は誰でも幸せを入れるバケツを持っていて、人を喜ばせるといっぱいになり、いやなことをするとからになる。
誰もがお互いを思いやり、親切にすれば、みんな笑顔になって幸せになれることが描かれています。

『心のエコロジー 交流分析・ストローク エコノミー法則の打破』
澄み切った晴天のような心「ふわふわさん物語」
クロード・スタイナー/作
小林雅美/著
奥村かよこ/絵

クロード・スタイナー博士がストロークを優しく童話風に書かれたものを絵本にしていますが、それを小林雅美さんが解説をした本です。
絵本の部分を読むだけでも、プラスのストロークの大切さがわかり温かい気持ちになれます。



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