湊かなえオススメ絵本 NHKあさイチで紹介

湊かなえ_あさイチ絵本

先日、湊かなえさんはNHK あさイチ出演していました。

通常のトークの後、絵本を紹介するコーナーになりました。

何気なく見ていましたが、私にとってはラッキーでしたね。

湊さんが大人になって改めて良さがわかった絵本は何だったでしょうね。

湊さんが紹介していた絵本4冊、それは・・・



湊かなえ オススメ絵本 その1 『おばけリンゴ』

最初の絵本は『おばけリンゴ』です。

『おばけリンゴ』
ヤーノシュ 作・絵
やがわ すみこ 訳
福音館書店

主人公は表紙に書かれている赤い服を着たワルターという男性です。

あらすじ:

貧しいワルターはリンゴの木を一本持っていたのですが、実が全くなりません。
実がなりますようにとワルターは願っていると、ひとつだけ実がなりました。
ただその実はどんどん大きくなって、巨大なおばけリンゴになってしまいました。
ワルターはそのおばけリンゴを売りに行きますが、大きすぎるリンゴをだれも買ってくれません。
そこへ王様から、おそろしいリュウへの贈り物に、おばけリンゴを差し出せ!と言う命令がありました。
はたしてワルターとリンゴの運命は……。

湊さんは、この作品は幼稚園の頃に出会ったそうです。
タイトルの『おばけリンゴ』を見ていいなあと思い、お母さんに言って買ってもらったそうです。

ただ、届いた絵本を読んでもらうと、思ってたのと全然違って可愛くなく、辛気臭いしって思ったそうです。
辛気臭いって、何とも言えない表現ですが、その時の気持ちが伝わってきますね。

結局、その頃は絵本の良さがわからなかったけれど、小説家になった今、思うところがあったそうです。

デビュー作の『告白』が自分が想像していなかったくらいの多くの人に読んでもらえ、おばけリンゴと一緒だなぁっと思ったと。
自分でどうにかしようと思ってちゃだめなんだ。誰かに任せて見守るしかないときもあるんだよって。

この絵本は、幼稚園の頃の私から小説家になった私への贈り物だと思い、読んでて良かったなと思っているそうです。

印象に残る絵本は、時を経てこのように思い出されます。
それが、今の自分の支えになったり背中をしてくれます。
ずっと覚えているのではないけれど、ある時フッと思い出すんですよね。

湊さんの場合、『告白』の成功の裏に、この絵本のメッセージがあると思うと、不思議な感じがします。



湊かなえ オススメ絵本 その2 『半日村』

次の作品は、湊さんがこども頃に読んで今も支えになっている絵本だそうです。

『半日村』
斎藤隆介 作
滝平二郎 絵
岩崎書店

あらすじ:
半日村という名前の村がありました。
大きな山を背負っているため日照時間が短く、村には半日しか日が入りません。
そのため作物の生育は悪く村の人たちはみんな痩せて青い顔をしていました。
村に一平という子どもがいました。
一平はある日大人たちの話しを耳にします。「あの山さえなかったら・・・。」と。
次の日、一平は袋を担いで山に登ります。
そして山の土を袋にいれ、近くの湖に捨て始めます。
そんな一平を見て村の人たちは、馬鹿にして笑っていました。
しかし、次第に村の人たちは一平を手伝うようになります。
村の人たちは何年も何年も山の土を運び続けます。
一平は大人になっても山の土を運び続けます。
そしてある朝、それまで半日村では見ることのできなかった朝日が昇ります。
山は半分になり山の土で埋められた湖には田んぼが出来ていました。
そして半日村は一日村にと呼ばれるようになったのです。

この作品は、湊さんが小学校4年生の時、担任の先生が読んでくれた絵本です。

想定できない馬鹿にされるようなことでも、毎日毎日頑張って、積み重ねていったらいつか鶏が鳴くのと同時に日が昇るっていう話が印象に残っていると。

小説家になって、一冊で400字詰め原稿用紙を400枚くらい書いているそうです。
ちょっと想像を絶する枚数ですね。

多くの作品を書いている湊さんでも、400枚埋めることなんてできないし無理!て思うことも。
そんなとき、今日はしんどいから寝ようって思うけれど、今日しんどくて言ったら明日もしんどいぞって思って、1日15枚は書いて寝るそうです。
まさに、半日村でコツコツと毎日土を袋に入れているように、1文字1文字書いていたらいつかは終わりが来るって!
辛い時には、半日村思い出して「いつか完成する日が来るんだ」って思いながらずっと書き続けていて、作品が完成した時「半日村が一日村になりました」っていう声が聞こえてくるそうです(笑

この話を編集者の方に話しても伝わらずちょっと残念に思ったこともあったそうです。
でも、この物語を知っている子ども達が、夜遅くまでかかって間に合った時なんかに「半日村が一日村になった」って話せるとっても嬉しいといってました。

こうやって共通の話題とできる絵本が一冊あるって、とっても素敵ですね。



湊かなえ オススメ絵本 その3 『パンダ銭湯』

つぎは、大人になってから出会った作品です。

『パンダ銭湯』
tupera tupera 作
絵本館

これは、私も好きな作品です。

湊さんは、子どもには自分が小さい時に慣れ親しんだ『ぐりとぐら』とか読んであげたいなと思ってたそうです。
でも、新しい絵本も興味があって、表紙の絵に惹かれて手に取ったのがこのパンダ銭湯だったとか。

予想外の展開で心が癒されほっこりでき、親子で笑え、しかもこの発想かよって感激でしたそうです。
そこまでのインパクトがあったんですね。

辛い時はこれを見ようって、子どもより湊さんの方が夜中に『パンダ銭湯』開いて楽しんでいるそうです。

あらすじ:

ここはパンダのためのお風呂屋さんです
銭湯に入ってきたお父さんパンダは番台のおばちゃんにお金を払います。
子どもパンダは嬉しそうに早く早くと言っています。
脱いだらちゃんとかごに入れるようにってお父さんが言っています。
パンダって何を脱ぐんでしょう?
あれ? 黒いものを次々に脱いで行きます!
腕周りを脱いで、足は靴下のように脱ぎます。
そして目は! チャチャっとサングラスのように外します。
外して現れた目は、意外?にもちょっときつい目をしてます!
一番風呂ですね。
子どもはわーいと言って喜んでいます。
お風呂を出ると・・・。

湊さん、サングラスを外すとき「チャチャ」が口癖になっているとか。

tupera tupera作品は、ワクワクする面白いものが多いですね。
物語の本筋ではないところにも楽しさが詰まっています。

例えばこの作品では、銭湯の番台に貼ってある注意書きは「パンダ以外の入店は固くお断りしてます」ってなっています。
これはパンダ以外の秘密を調べてはいけないことが何か匂わせているように思います

サイダー名は「サササーダー」
お風呂の模様が中華の丼の模様
「サングラス忘れ物注意」と貼り紙もあります!
「似てるから気をつけて」っていう注意書きも笑えますね。

一回読んだ後、絵を見ながらもう一回読み返すと、クスッと笑える発見があります。
感回読んでも楽しめる、新たな発見があるというのが面白いです。

私は、パンダの「目」が印象的に頭に残っています(笑



湊かなえ オススメ絵本 その4 『もうひとつの場所』

最後はちょっと変わった絵本です。

『もうひとつの場所』
清川 あさみ 作
今泉 忠明 監修
菊地敦己 デザイン
リトルモア

絶滅してしまった生き物や絶滅危惧種などを糸やビーズで織りなして描かれています。

この絵本は見たことがないので、手に取って見てみたいですね

絶滅してしまった翼を持つ飛べない鳥「ジャイアントモア」
スパンコールで彩られた「ウスバキチョウ」
身体の前半分だけ縞模様がある「クアッガ」

清川さんは写真や絵に直接、頭に思い描いたものを針を刺して作っています。
一回針を刺して穴が開いてしまうと修復できないところが、絶滅危惧種への想いに通じるそうです。
この先の自然のこととか地球のこととか考えてほしいというメッセージが伝わってきます。
写真ではなくそれ以上の想像をかきたてるものを見せてもらえます。
今となっては想像するしかないその動物が活き活きと活動してる姿を見たかったなーとか、ずっと生き続けてほしいなぁていうのを自然に思わせてくれる作品です。

そんなところが湊さんは好きで、自分の中の環境を巻き起こしてくれると感じているそうです。

本当にしんどいとき、この現実ではない作品に触れると、自分の心も安らぎどこか違う世界にも連れて行ってくれるこの作品。
大人の感性を刺激する絵本なので、プレゼントにもよさそうです。

湊さんも清川さんも淡路島出身で同郷で、「贖罪」「サファイア」の表紙は清川さんの手によるものです。

とても素敵な表紙のデザインです!



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