子どもの自己肯定感を高めるのは親次第? 親の上手な関わり方、褒め方、叱り方 親のあなたの自己肯定感は高いですか?

私は子どもを持つ親です。
子どもを持つ親であれば、子どもの健やかな成長を考えます。
近年、子育てをするときのキーワードで「自己肯定感」という言葉を耳にすることがあります。

子どもの自己肯定感が高いとどうなる?

「自己肯定感」が高いと、どんな子に育つのでしょう。

・肯定的(ポジティブ)で、何事にも前向きな視点が持てる
・問題(トラブル)が発生しても、楽観的に考えられる
・多少不安なことがあっても、意欲的に取り組める
・失敗しても落ち込みすぎない。その失敗を糧にして失敗を恐れずチャレンジできる
・他人と比較せず「他人は他人」「自分は自分」と、自分を尊重し他人も尊重する
・人の意見に左右されないので、人に振り回されない
・ありのままの自分を受け入れているので、感情が安定し生きていることを楽しめる
・自分の軸がしっかりしているので、自分の人生を自分で決められる。
・自分の考えや意見を相手に伝えることができる
・人の話をしっかり聴き、相手に共感し理解することで、相手との信頼関係が築ける
・良い悪いと人をジャッジせず、相手をしっかりと認められる
・私は私のままで生きることができる
・自分には生きる能力があり、幸せになる価値がある
・人生には、きっといいことがある

このような人になってほしいと思うのは、親の願いですね。

子どもの自己肯定感を高めるための親の関わり方

私は、子育てをしているうえで大切にしているのは、子どもが自分で決めたことを尊重する、ということです。
まずは、子どもが決めて行動していることを見守り、子どもがヘルプを求めたときにサポートをするようにしています。

何か聞かれても、答えはすぐに言いません。
質問の意図をきちんと聴きます。

問題が意味がわからないのか、解き方がわからないのか、基本は分かるけれど応用できないのか、質問を重ねることで、問題となっている個所を探ります。

問題がわかったところで、ひとつひとつサポートしていきます。

解決するまでの時間がかかっても、結果的に理解は深まります。

時間があるときは、問題をアレンジして質問を繰り返します。

問題が本当に理解できれば、質問を変えてもきちんと自分で説明できます。

説明できないときは、躓いたところをフォローします。

ひとつひとつの積み重ねが、子どもの考える力を育てます。

こどもの自己肯定感を高めるための親の褒め方

そして、サポートした時には、必ず子どもを心から「ほめ」ます。

最後まであきらめずに問題を解決した姿勢に対してほめるのです。

・がんばって、最後まできちんと解けたね。
・あそこで、考え方を変えたのは良かったね。
・よく気がついたね。

子どもは、親にほめられることが大好きです。

逆に怒られるのは嫌いです。
怒られるのが好きな子はいないでしょう。

では、子どもはなぜ親にほめられるのが好きなのでしょうか?

それは、人は「褒められること」を本当的に求めているからです。

子どもの自己肯定感を高めるために必要なもの:ストローク

TA心理学に「ストローク」という理論があります。

ストロークStroke)とは、
「存在を認めるやりとり」のことを指します。

例えば、ほほ笑みあったり、ほめてあげたり、怒ったり、人がコミュニケーションするひとつひとつのやりとりがストロークにあたります。

ストロークは言葉だけとは限りません。
態度であらわされることもあります。

「おはよう」と笑顔であいさつした時に、「おはよう」と笑顔で返されると気持ちが良いですよね。(プラスのストローク)

でも、「おはよう」と笑顔であいさつした時に、そっぽを向いて、怒ったような声で「おはよう」と言われたらどうでしょう。
朝から、いやな気持ちになってしまいます。(マイナスのストローク)

このあいさつひとつひとつもストローク交換が行われています。
「おはよう」とあいさつしている人は、相手に対して、言葉でも態度でも好意的に「おはよう」のあいさつを投げかけています。(プラスのストークを出している)

先ほどの前者の例の場合は、あいさつに対して、好意的にあいさつを返しています。
これを、プラスのストローク(ポジティブなストローク)といいます。

それに対して後者の場合は、あいさつに対して、敵対的にあいさつを返しています。
これを、マイナスのストローク(ネガティブなストローク)といいます。

ストロークは「心の栄養」とも表現されます。
水や食べ物と同じように “人が生きていくために絶対に必要なもの” なのです。

子どもの自己肯定感を高めるのにストロークが必要な訳は?

人は「ほめられること」を本能的に求めていると言いました。

前回の記事でも書きましたが
(「ウイズコロナのパートナーとのつきあい方」参照)

TA心理学の創始者、エリックバーン博士は、人が人と関わる「社会的接触」を「3つの飢え」という視点で説明しています。

・刺激の飢え・・・もっとも強力な刺激は身体的接触
・承認の飢え・・・自分の存在を確認したい。認めてもらいたい!
・構造の飢え・・・今日はどうやって過ごそう。なんとなく時間がすぎるのは嫌!

人間を含むほとんどの生物は「刺激」を求めます。
ジェットコースターやお化け屋敷になぜ人は行くのか?
独居坊は、なぜ受刑者から最も恐れられている刑罰となっているのか?
それは、本能的に人が「刺激」を求めているからなのです。

そして、人は「承認」されることを求めます。

「承認」も他者から得られる刺激のひとつです。

そして「承認」とは自分以外の他者からしか得られないものです。
これは、人間の赤ちゃんでもサルの赤ちゃんでも同じことが言えることが、ルネ・スピッツ博士やハロー&ハロー博士たちの研究で発表されています。

赤ちゃんは、音、におい、温かさ、母親との触れ合いが必要です。
それらがないと、赤ちゃんは衰弱してしまいます。
さきほどの「あいさつ」でも同じことが言えます。
あいさつを返されないことが続くと、おとなでも精神的に弱ってきます。

「スーザンのセカンドチャンス」という記録映画があります。

母親からの肉体的(ふれあい、接触)・心理的なストロークが欠乏したため、発育異常をきたしてしまったスーザンという女の子が、病院においてスタッフによる肉体的・心理的ストロークを充分に受けて、第二の成長のチャンスをつかんでいくという内容です。

このスーザンのケースは、ストローク欠乏がもたらす結果を示しています。

子どもの自己肯定感を高めるための親のあり方

私たち人間は一人では生きていけません。
ストロークは生きていくためのエネルギーの源泉となっているのです。

この生きていくために必要なストロークのうち、プラスのストローク(ポジティブなストローク)は、自己肯定感を高めるために必要なものなのです。

とくに「ありのままの自分を受け入れる(自己受容感)」には欠かせません。
子ども行動、言動をすべて受け入れてあげることは、子どもの存在を認めてあげることになります。
存在を認めてあげることが「ポジティブなストローク」になります。
それが繰り返されることで、自己受容感自が高まり、自己肯定感も高めることができます。

では、親のあなたは子どもの行動・言動をすべて受け入れることができますか?
自分自身、自己肯定感が高いと言えますか?
他人と比べず、「自分が大事な存在だ」「自分はここにいていいんだ」と自分を認める意識をもっていますか?

行動科学に詳しい永谷研一さんは次のように指摘しています。

『親自身の自己肯定感が低いので、せめて子どもだけでも高くしたい』というお話をよく伺うのですが、それは難しい。

子どもは幼少期に親の言動、態度、行動の影響を受けます。
その結果、親の自己肯定感が低いと、自身や他者のマイナス面ばかりが習慣づけられてしまうのです。

永谷さんは、

「自己肯定感は親子セットではぐくむものなのです。」

と言っています。

そうです。
子どもの自己肯定感を高めたいのであれば、まず、親の、おとなの自己肯定感を高める必要があるのです。

子どもの自己肯定感を高めるのは親次第。親の自己肯定感の高め方

では、おとなの私たちはどのように自己肯定感を高めればよいのでしょう。

その一つの方法として「絵本の読み聞かせ」をお勧めします。
私は絵本未来創造機構のEQ絵本講師®️シニアインストラクターです。

絵本の読み聞かせは子どもためだけではなく、おとなの成長のためにも、とても効果があります。

絵本はハッピーストーリー、サクセスストーリーのものが多く、優しい、思いやりのある言葉で満たされています。
それらを、耳で聴き、絵を見ることで、脳が刺激され、感情が揺さぶられ、温かい気持ちになることで、自己肯定感を高める効果があります。

例えば、『ずっといっしょ』という絵本があります。

ずっといっしょ

『ずっといっしょ』
スムリティ・プラサーダム・ホールズ/文
アリスン・ブラウン/絵
俵万智/訳

この絵本は、親の視点で子どもをずっと温かく見守っている様子が描かれています。
子どもに読んでいても、読んでいる自分自身に響いてきます。
「ずっと ずっと いっしょだよ」
誰かに言ってもらえたら、心が温かくなりませんか。

うまれてきてくれてありがとう

『うまれてきてくれてありがとう』
にしもとよう/ぶん
黒井健/絵

やっと生まれてきた赤ちゃん。
自分のママを探して、探し求めてやっと見つけたぼくのママ。
ぼく、ママの子どもで生まれるよ、あの言葉を言ってもらいたくて…
「うまれてきてくれてありがとう」
あなたの存在を、すべて包み込み認めてくれる言葉。
あなたをかけがえのない、かわりのいない人として、自分自身が認められる絵本です。

わたしとなかよし

『わたしとなかよし』
ナンシー・カールソン/さく
なかがわちひろ/訳

この絵本は、自分のことを100%肯定しています。
わたしは、いつもわたしといっしょ。
ダンスしていても、
自転車に乗っているときも、
お絵描きしているときも、
わたしは、わたしといっしょ。
だからわたしは、わたしを大事にするの。
わたしは、わたしの全部が好き
くるくるしっぽも、まんまるおなかも。
わたしは、いつもわたしといっしょ。
ね、すてきでしょ!
とっても素敵なお話しです。

できれば、毎朝、目覚めたときに絵本を読むことをお勧めします。
お子さんに読んであげるときは夜でも良いでしょう。
また、時間があるときに読んでみるのもよいでしょう。
今回紹介した絵本は、どれも5分あれば読めてしまいます。

まずは、自分の自己肯定感を高めてみませんか。

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