人気絵本作家ヨシタケシンスケさんの絵本に対する想い あさイチのトークより

7月31日のNHKあさいちに人気絵本作家ヨシタケシンスケさんが出演された。あまりメディアで観ることが少なく、今回は初めての生出演ということでとても楽しみに見させてもらいました。

ヨシタケシンスケさんは、この7年間で18冊絵本を発表し、累計460万部以上売り上げています。その絵本は12の言葉に翻訳されていて、ニューヨーク・タイムズの最優秀絵本賞を受賞したり、ボローニャ・ラガッツィ賞も受賞しています。ここ数年、絵本の売り上げのTOP10に必ず2-3冊入っています。

代表作には、以下のような作品があります。
『りんごかもしれない』(ブロンズ新社) MOE絵本屋さん大賞第1位を獲得、第61回産経児童出版文化賞美術賞を受賞
『ぼくのニセモノをつくるには』(ブロンズ新社) 第2回長野県本屋大賞CONTEMPORARY部門を受賞
『もうぬげない』(ブロンズ新社) 第26回けんぶち絵本の里大賞を受賞
『おしっこちょっぴりもれたろう』(PHP研究所) 第29回けんぶち絵本の里大賞を受賞

個人的には『こねてのばして』(ブロンズ新社)が大好きです。
テンポよく、リズミカルで、意味があるような無いような、ただただ、読み進めたくなる楽しさのある絵本です。

ヨシタケシンスケさんのお話しをお聞きしていると、とても楽しく、ユーモラスで、時に絵本に対する想いなどなるほどと思うことがいろいろありました。
ヨシタケさんに限らず、絵本作家さんには絵本に対する想いがあり、その思いが絵本に反映されています。今回も、ヨシタケさんの想いは、随所になるほど感があり、絵本にもう一つの魅力を加えていただきました。

●ヨシタケシンスケさんの作品の魅力

ヨシタケさんの絵本には、思わず「クスッ」「にやり」としてしまう面白さがあります。大笑いするわけではなく、ほにとうにちょっとニヤッとする感じです。
番組の中では、大人にとっても子どもにとっても大事なもの、それぞれの年代の人、すべての人がが面白いもの、可能性のあるものを題材にしているそうです。
確かに、誰が読んでも面白いと思います。

作品を作るにあたっては、人のことはよくわからないから自分にとって興味のあるもの、面白いと思うものをテーマにしているそうです。
小さい頃の自分が知りたいもの、知りたかったもの、小さい頃の自分を喜ばせられるか!、そんな感じです。
フィクションなんだけど、実際にありそうなことだよね、と思えてしまうのは、この考えがあるからでしょうね。

誰かを喜ばせようと考えず、自分が面白いものを書けば、ほかの人も面白いはず、というのは「他人と過去は変えられない」という、心理学的な考え方にも則しています。この考え方が、ほかの人の共感よぶのでしょう。

ヨシタケさんの絵本には、だれもが持っている普通の感覚が載っています。
「うんうん、それ、わかる!」っていってもらえるような、「背中ってかゆいけど手が届かないよね」「脛ってぶつけたら痛いよね」「お母さんにギュッとされてら嬉しいよね」というような、人の体から湧きだしてくるる気持ちが絵本に入っていたら、こどもでも、おとなでも、外国の人でも、みんな同じように思ってくれるはずだよね、と考え、身体が嬉しかったり、痛かったり、気持ちよかったりということを大事にしているそうです。

子ども頃は絵が好きで楽しかった絵本。それが、大人になってから「楽しかったから」と思い出して手に取ってみると、初めて意味が分かる。そのように感じられることが絵本にはあります。絵本は、人生の様々タイミングに開いてみると、その時々の楽しみ方ができます。
ヨシタケさんの作品は、まさに、そんな楽しさが詰まった絵本だと言えるでしょう。

●絵本の選び方

絵本は表現の幅が広く、やってはいけないことはほどんどないので、ちっちゃい子が読んで意味が分かるようなものであれば、けっこう色んな事が試されています。
落ちのないものがあり、ストーリーがあるようで無いような絵本もたくさんあります。
落ちのなかったり、ストーリーがよくわからないとおとなの人は納得できないので、買ってくれません。
これは、おとな基準の考え方ですね。
子どもの頃、特に幼年期は大人よりは知識も少なく、考える力は弱いかもしれません。でも、感じる力は大人より何倍もすぐれています。

当たり前のことですが、私たちが見過ごしているのは、子どもって、見たもの聞いたものをどんどん吸収して、言葉もどんどん覚えていきます。
でも、言葉を覚えるのは、文字を読んで覚えるのではなく、最初は音で聴いたものとイメージを結び付けて覚えていきます。
何かを判断して覚えるのではありません。ただただ覚えていきます。
成長して、物事の判断ができるようになると、覚えてきたことに「意味」「価値」などが付加され、良し悪し、善悪の判断が加わってきます。
小さい子には、意味があるかどうかなんて関係ないのです。楽しいか、面白いかどうか、興味があるかどうかだけなのです。
にもかかわらず、おとなが「意味」で判断したら、子どもの成長をブロックしてしまうことになります。
おとなの「枠組み」を子どもに押し付けてしまうと、子どもは自分の可能性を親も枠組みの範囲内に限定させられる可能性があるのです。

子どもには、子どもの感性で、おとなにとって意味がないことでもおもしろいと思い、ずっと遊ぶことがあります。
何がそんなに面白いんだろうと思うようなことを、繰り返していること、ありますよね。
子どもたちは「何かわかんないんだけどまた読みたい」とか「話が難しいんだけど絵がかわいいから見ちゃう」というように、おとなの意味付け、「売れているから」「大御所だから」「有名な人だから」とかまったく関係なく、自分が面白いと思うものは最後まで読み、つまならなければすぐに閉じちゃいます。子どもたちはとても素直なんですよね。

子どもが手にとって楽しそうにしているもの、それを選んであげることが大切です。自分の価値判断はちょっと置いておきましょう。

●最新刊 『欲が出ました』(新潮社)

『欲が出ました』(新潮社)

この絵本のなかから2つほどページが紹介されていました。

・サァ!今日も元気に顔色うかがっていこー! 
 
 これは、日常の中で行った選手宣誓です。決定権を持つ人の機嫌がいいかどうか。顔色うかがっていけば平和に過ごせるのではないかというメッセージを込めたそうです。
 空気を読む、上司の顔色をうかがうのは、相手の自我状態を推し量ることになります。相手が高圧的で自我状態(CP)が攣用い人であれば、顔色をうかがっているということは、ちょっと戦々恐々とする感じがしてきます。それを、このように宣言すると、右肩下がりでずんずん沈んでいきそうな気持を、笑い飛ばして「まあ、いっか」とポジティブに考えられます。おまけに元気が湧いてきます。

・ボクはこの世に100年くらいしかいないんだ。期間限定なんだョ!

 人生100年 これは寿命の話しですね。「寿命」を「期間限定」に置き換えて言われると、なんかどこにでもありそうな、手に届きそうな身近なものに感じます。そして、期間が決められるというふうに言われると、とちょっとドキドキしたり、カウントダウンしながら生きている感じがしてきます。

いろんな、ちょっとクスッとしてしまうような「欲」が詰まっていそうです。手に取って楽しみたい絵本ですね。

●絵本を書くきっかけ

大学時代は芸術的なものやいろいろ立体的なものを作っていたヨシタケさん。
でも、社会人になると立体的なものを作る場所もなければ、置ける場所がないので、どうしようかと思っていた時、絵であればかさばらないし、同じ状態のものを人に見せられるということに気がつき、絵の中で一番面白いものを考えようと思うようになったそうです。

就職先はゲーム機を考える会社だったそうですが、企画するものはすべて没になりストレスが溜まってきているときに、手帳に上司への愚痴を絵で小さく書いていたとき、あるときそれが見つかってしまいますが、その絵を、かわいいと言ってくれた人がいたそうです。
その時に、こそこそ書いていた絵は人に見せてもいいんだ、面白がってもらえるんだ、ということにことに気がつきました。

ボツになっていた企画は、読み物として面白いけれど、ゲーム化するには面白くないという評価だったので、読み物として面白いのであれば、読み物でいいじゃないかと思うようになったそうです。
ここで、絵本を書くことに ”許可”をもらった感じです。
人が動けなかったり校で追うできなかったりするのは、何かしら 自分の幼いころに染み付いた ”制限” が影響しています。その制限を解除するために、ヨシタケさんの場合「絵をかいていいんだよ」と”許可”をもらえることで、絵本の道を本格的に歩み始めることになっていきました。

絵本を書く材料はそろっていたけれど、ただそこにあっただけのものが、新たな視点、気づきが加わることで、絵本を作るという最初の一歩が始まることになったのですね。

●ヨシタケシンスケさん

ヨシタケさんのお話しを聞いていると、ヨシタケさんの作品とコメントがオーバーラップしました。
ヨシタケさんの人柄、考え方が、うまく絵本で表現されているなと思いました。
ヨシタケさんはイラストレータでもあるので、いろいろなところで「見慣れた」絵を見ることが多くなりました。

ヨシタケさんの感性は、悪意を持たない、ちょっと考えさせるテーマを感じます。

そんな感覚を持ち合わせているのがヨシタケシンスケさんだと思います。

これからも発表される絵本がとても楽しみです。

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