やる気を出す 心理学的な対処方法

何かをやろうと思っても、なかなかやる気が出ないときがあります。
そんな時にどうするか、いろいろなやり方があると思います。

ネットで検索すると、いろいろな方法が出てきます。

「やるきがでないとき」[検索]

やる気が出ないときに試したい「科学的に」モチベーションを上げる8つの方法
なぜ人はやる気が出ない状態に陥るか?その原因と19の解決策
【やる気の出し方】実は単純なことだった!驚きの3ステップとは
無理をしなくても大丈夫。「やる気が出ない時」の過ごし方&心と身体が和らぐ対処法
やる気が出ないときは無理をしなくてもOK?原因と対策を徹底解説!
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これらの方法を読んでみると、やる気の出ない原因を科学的な解析や心理学的なアプローチ、または実例に沿って具体的は対処方法があります。とても参考になりますが、これらの方法も私にとっては「読み物」となってしまって、実際に対応することは難しい方法です。
どうしても他人事のような感覚で自分事にならないのです。

では、どうすればやる気を出すことができるでしょう。
ほかの人が書かれていることは大変参考になり、使えそうな方法もいろいろありますが、自分事にするには自分が一番わかりやすい方法で考えることが大切だと思ったのです。
そうすると、TA心理学で考えてみたらどうなるのか、ということで、自分のケースで考えてみることにします。

TA心理学にはいろいろな理論がありますが、今回は「自我状態」と「脚本」で考えてみました。
まず、やる気が出ない状態は、私は「脚本に入っている」と言えます。
その脚本から脱するために「自我状態」を整理し、対応を考える、という方法を行ってみました。

まず、「脚本」です。
TAでは「ライフ・スクリプト(Life Script)」または「人生脚本」ともいいます。
ここでは、単に「脚本」とします。

「脚本」とは、私たちの人生は一つのドラマになっていて、ドラマのための脚本があり、その脚本を演じている、という考えです。
これだけ聞くと、私たちは、自分の意志で生きているのに運命が決まっているように感じてしまうかもしれませんね。
もう少し詳しく説明します。

「脚本」は、無意識の人生計画と定義しています。

この人生計画は子どもの時代、6歳~7歳くらいまでに基礎が作られます。脚本は、親の教育、しつけ、言葉がけ、態度、接し方、家庭環境、人間関係、地域性、風習など、自分の育った環境での経験・体験をもとにして作られます。

その後、小学校で両親・家族以外の社会生活を経験することになり、これまでに作ってきた「脚本」にしたがってリハーサルを行います。【リハーサル1】
家庭環境以外の他人の中で初めて演じることになります。家庭の中ではうまくいっていたことが、他人の中ではうまくいかないことがあります。例えば、家庭の中では欲しいものがあった時、泣けば必ずお母さんが買ってくれたのに、小学校の中では、泣いても手に入ることはほとんどありません。慰めてもらえばよいところではないでしょうか。
このように、これまで作ってきた脚本がうまくいかないとわかった時に、私たちは脚本を書き換えて手直しをしていきます。
このような経験を重ねて自分なりの人との関わり方を学習していきます。

中学・高校時代、思春期の時代になると、大人と変わらないくらい身体的にも精神的にも成長し、知識や経験も豊富になります。
この時期に、もう一度リハーサルを行います。【リハーサル2】
このリハーサルを行うことで、その後の人生脚本の最終仕上げを行います。

このようにして作ってきた「脚本」がその後の自分の人生の基本となる人生計画となります。

最初に、私は、やる気が出ない状態で「脚本に入っている」と言いました。
これは、私の行動の「くせ」とも言えますが、何かを行おうとするときに、計画までは順調に行うけれど、さぁ実行!となった時の第一歩がなかなか踏み出せません。これは、私が子どもの頃から積み上げてきた「脚本」です。振り返れば、このような経験を私は繰り返してきています。
この「脚本」の種(要素・要因)は分かりませんが、やる気が出なくても締め切りギリギリからやり始めてどうにかなってきた経験が積み重なって、私の中では、「まぁいいか」「どうにかなるさ」という気持ちがあるのがよくわかります。

やる気が出ないとき、自分がどんな気持ちになっているのか、その気持ちって繰り返していないかを考えてみます。もし繰り返しているようであれば、それは自分の「脚本」(行動・考え方のくせ)なのです。「脚本」であることがわかれば、「脚本」を書き換えることを考えてみます。
TAでは脚本はいつでも書き換えられると言っています。

では、どのように書き換えるのか。
今回私は、「自我状態」の理論を使って考えてみました。

人がどのような構造になっているのかを示す理論に、「自我状態構造モデル」があります。

40代バリバリのビジネスマンの耕助さんを例にとってみましょう。
耕助さんは、会議の場では冷静沈着に理路整然と説明しています。そんな太郎さん、休憩時間になって雑談してるときには、ゲームの話しをはしゃぎながら話しています。仕事に戻って、プロジェクトを確認しているときに、メンバーに対してビシッと時に厳しい表現で指示をしています。
このように、耕助さんには、冷静にビジネスをしたり(成人のように振る舞う部分)、ゲームではしゃいだり(子どものように振る舞う部分)、部下を指導したり(親のように振る舞う部分)など様々な面を持っています。この親・成人・子どもの構造をまとめたのが「自我状態構造モデル」です。

TAでは、人は、親・成人・子どもの3つのパートで構成されていると考えます。

自我状態構造モデルは次のようになっています。

親 (Parent):親(親の役割の人)をコピーして心の一部に根付いている思考・行動・感情
成人(Adlut) :”今、ここで”の現実を認識した思考・行動・感情
子 (Child) :子ども時代に体験し、今も残っている思考・行動・感情。

この構造モデルを使って、現在のあり方をTA理論で明らかにすることを自我状態構造分析といいます。
以下の説明では親・成人・子供をそれぞれP・A・Cで表します。

私は、やる気が出ないときには、Cが活性化し「まぁいいか」「どうにかなるさ」と楽観的に考えています。能天気な考え方ですね。この考え方をしていると、外からの刺激がないとなかなか動きだせません。子どもの頃であれば、ぐずぐずしていると、親から「勉強しなさい!」「早く寝なさい!」など指示がきます。そうすると、いやいやながらも行動に移します。この時の親の指示は、現実世界でのPからの指示ですね。
社会人として生活している今、親の指導はありません。自分の中の親、PからCに対して「やりなさい!」と指示を出して動かすことになります。実際、自分の気持ちを振り返ると、「やらなきゃだめだろう」「やらないと先に進まないぞ!」とメッセージを発していますが、Cが強く働いて、メッセージを受け取りません。そんなのすぐに受け取れるでしょう!と思われるかもしれませんが、なかなかどうして、自分の中で作られた「まぁいいか」「どうにかなるさ」脚本は受け取ってくれません。自分のことながら、どうしようもないのです。

こんな状態でしたが、ふと、Pのメッセージを変えてみました。「これやったら楽しいよ(^^)」「ほら、こんなにワクワクできるよ」と置き換えてみました。不思議なのですが、受け取りを拒否していた自分の気持ちがすーっとなくなり、「やってみよう」と思えたのです。Cが「まぁいいか」から「おもしろそう」に変わりました。人は楽しいことは進んで、時間を忘れてできます。今自分な中ではワクワクした楽しさで満ち溢れています。脚本を少し書き換え、やる気スイッチをオンにする方法が手に入りました。

今回、私は「やる気の出ない」脚本を、自我状態構造モデルのPからのメッセ―ジュを変化させることで、やる気を出すことができました。人から言われたのではなく、自分で見つけた自分なりの方法です。

この方法が常にうまくいくとは限りませんが、同じようなことが起きたときにはきっと役に立つ方法だと確信しています。

「答えは自分自身が持っている」
TAの基本的な考え方です。
TA理論を使うことで、自分自身で答えを探すことが少しだけ楽になります。

答えはやっぱり自分の中にありました。

 

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